ESPミュージカルアカデミーは、ギターメーカー㈱ESPが1983年に設立した「日本ギター製作学院」を前身として、1987年、総合音楽学校として日本で初めて文部省(現・文部科学省)の正式認可を受けた専門学校だ。現在はギタークラフト以外にもプロミュージシャンから音楽スタッフまでを育成する、楽器、音楽に関するあらゆる学科が開設されている(詳しくはp125を参照)。ここで紹介するギタークラフト科は、30年以上の歴史を持つ㈱ESPのギター製作技術をベースに、木材の選定から加工、塗装、エレクトロニクス、組込/調整までを1人で行うことができる『ギタークラフトマン』を育成することを目的とした学科だ。
3年制のギタークラフト科2010年度春新設。ギターにまつわる全てがここにある!
これまでは1年次に基本的な加工技術、知識を学び、2年次は修理専攻やアンプ、エフェクター等のエレクトロニクス専攻等、6つのコースに分かれて学ぶというスタイルであったが、専門的に学べる反面、その分野以外の知識が薄くなってしまうという弊害もあった。そこで2010年度より新設される3年制では、今までそれぞれのコースで育んできたカリキュラムを基に、全員が最初の2年間で総合的な知識、技術を身につけられるように講義内容を再編。3年次にさらに専門色の濃くなった新しいコースに分かれ、従来よりも総合的に「ギターにまつわる全て」の知識、技術を身に付けられるようになった。
また、ギター製作に加えて、プロミュージシャンから演奏技術も学ぶ「プレイヤーコース」も健在。この両方ができるのは日本で唯一である。これはギタークラフト科以外にもミュージシャンを育成する学科、ノウハウを持つ、総合音楽学校の強みだ。
さらに3年間の専門課程の後には、研究課程である「ギタークラフト研究科」も設置しており、それも含むと計4年間ギターにどっぷり浸かる、いわば「ギター大学」とでも例えればよいだろうか。数あるギター製作学校でも、ここまで幅広く学べるのは唯一無二と言っても良いだろう。もちろん、従来の2年制学科も健在。ギター製作のみを追求したい人には実績あるこちらがお勧めだ。
日本のギター業界はESPの卒業生が支えている
母体がギターメーカーということから、楽器業界とのパイプも非常に強力。卒業後の進路も安心だ。学内の「就職サポートセクション」が各企業からの求人情報を集め、就職活動を万全の体制でバックアップ。また前身の日本ギター製作学院から25年、卒業生は㈱ESPのみならず、国内のあらゆるメーカー、工房、楽器店など、業界の第一線で活躍している。このような卒業生達が、業界でキャリアを築くことにより、学校に求人をもたらしてくれている。
またミュージシャンとしてデビューを目指す学生には「デビューサポートセクション」がレコード会社へのプレゼンテーション、オーディションの仲介など、音楽活動を後押ししてくれる。実に頼もしい限りだ。
総合音楽学校ならではの充実した環境
高田馬場駅周辺に立ち並ぶ14棟の校舎。ギタークラフト科の教室には当然ギター製作に必要な設備の全てが用意され、それはまるでプロの工房そのもの。他にも演奏のレッスン・ルーム、リハーサル・レコーディング・スタジオなど、設備は非常に充実しており、放課後は学生が無料で利用可能だ。圧巻なのは、ライブハウスさながらの学内ホール。そこでは授業や学内イベントの他、国内外のアーティストを迎えたスペシャルセミナーも行われる。これまでにチャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、カーク・ハメット(メタリカ)、横山健をはじめ、多くのアーティストが来校。学生の作ったギターの試奏やセッションなど、普段の授業だけでは味わえない貴重な機会が多くあるのも見逃せない。さらに、FUJI ROCK FESTIVALや、SUMMER SONICといった音楽イベントにスタッフとして参加し、プロの現場を体感できるライブ研修もある。この研修は業界からも高く評価されており、実際最近では来日アーティストの単独公演での研修も増えてきている。
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