メーカー直営というメリットも活かしたカリキュラムで多くの優れたクラフトマン/リペアマンを業界に送り出しているスクール、それが『ESPギタークラフト・アカデミー』(以下GCA)である。その名の通り世界的ギターメーカーであるESPが直営しており、1975年に楽器ディーラーを対象にリペアの講習会をしたことをきっかけに1983年に発足された。現在では、東京をはじめ、名古屋、大阪、仙台にもスクールを展開。日本各地においてギターが好きでたまらないクラフトマン/リペアマン志望の人々の教育の場として、日々レッスンが行われている。
目的に応じて選べるフレキシブルなカリキュラム内容
GCAには1年制と2年制があり、目的に合わせた選択ができる。いずれも1年次の本科では、ギター&ベース製作修理コース/アコースティックギター製作修理コースから目的に合ったコースを選び、共通課題としてデタッチャブル/スルーネック/セットネック/フラットトップ・アコ−スティックギタ−構造などを学ぶ。同時にメインテナンスやリペアの基礎が学べる。最初は工具の使い方から教えてもらえるのでまったくの初心者でも問題はない。さらにカリキュラムには設計、塗装などのプロセスや、ギター史、音響、材料学、エフェクター製作、工業機械の安全な使用法、楽器ビジネスに関する講義もあり、様々な知識とノウハウを学ぶことができる。
2年次の研究科では、エレクトリックギター&ベース研究開発コース/リペア&カスタマイズコース/アコースティックギター研究開発コースの3コースに分かれ、より専門的な知識や技術を習得。目的や事情に合わせた受講スタイルが選べる。
そして特筆すべきことは、講師がレッスンを行いながらも、常に現場にも携わっている現役のクラフトマン/リペアマンであるというところ。実際にレッスンの最中、修理/製作中のミュージシャンの楽器が授業に登場することも珍しくないため最新の技術、情報がリアルタイムに反映される。
またGCAとピックアップメーカーでお馴染みのセイモア・ダンカン氏が共同開発したオリジナルピックアップ(右下写真)なども製作時に使用可能で、その他にもESPが開発した特種工具などが入学後に支給されるのも楽しみひとつだ。
メーカー独自のネットワークを活かしたイベントも多数開催
またGCAはメーカーだからこそ実現できる世界的なネットワークをいかし、内外のトップミュージシャン、ギター製作者や音楽・楽器関係者が数多く来校することでも知られている。これまでもポール・ギルバート、マーティー・フリードマン、リッチー・コッツエン、ジョ−ジ・リンチ、ガスG、カイ・ハンセン、キコ・ルーレイロ、ヤニ・リマタイネン、セイモア・ダンカン、ポール・リード・スミスのクラフトマン、ジョー・ナッグスらが来校し特別講義や、プロが学生の製作したギターを試奏し優秀作品を選ぶという、ユニークなコンテストなども行われている。
インターンシップ制度も導入し、コネクションも豊富。就職/開業にも有利な環境
「 自分の作りたいように作るだけでなく、プロのプレイヤーが弾いたとき、どんな音が出て評価されるかが重要です。そういった視点も養うためにイベントやコンテストなどできるだけいろいろな機会を設けるよう心がけています」(主任講師談)
インターンシップ制度も含めた就職サポートも万全。ESPの持つ幅広いコネクションを活かした楽器関連メーカーへの就職に有利だ。ここを巣立った後、独立し開業した卒業生も多く、GCAで学べば将来自分のショップを開業させるという道も決して夢の話ではない。
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