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では、いよいよ本題です。
まずはライブのときと同じようにセッティングしてもらいました。教壇上にドラムやギター・アンプ、ベース・アンプ、モニター・スピーカーなどを置き、その両脇に2台ずつメイン・スピーカーを置くという形です(写真②)。
マイクやベース、キーボードなどは教室後方に設置したミキサーにつないで、そのミキサーからメイン・スピーカーに音を出しているとのこと(写真③)。これが同校のPAシステムというわけです。
(下の写真はクリックで拡大できます)
ここで紅谷さんが着目したのは、ミキサーのYAMAHA EMX5016CFでした。このミキサーは“パワード・ミキサー”と呼ばれるタイプです。“パワード”とは、スピーカーを鳴らすためのアンプを搭載しているという意味。このミキサーとスピーカーさえあれば、すぐに音を鳴らせるのでイベントやライブにはもってこいというわけです。
さて、紅谷さんは持参したパソコンをミキサーにつないで曲をスピーカーで流しはじめました。正直、この時点での取材班は「スピーカーからの音は別に悪くないんじゃないかな?」などと思っていました。ところが……。
紅谷さんは幾つかの曲を流しながら5分ほどミキサーを操作。そして、「今、PAの現場で最初に行う作業を簡単にやってみました。まずは作業前の音、つまり普段、皆さんが聴いている音を流してみましょう」と曲を再生しました。
しばらくそれを全員で聴いた後にいったん曲を止め、「次に作業後の音を聴いてもらいます」と言いながらミキサーのボタンを押し、パソコンで同じ曲を再生。
これもしばらく聴いてから停止して、「違いがわかった人いるかな?」と紅谷さん。部員の皆さんは皆“?”という表情です(取材班も)。
「じゃあ、これだとどうかな? まずは調整前の音、そしてこれが調整後の音」と紅谷さんは曲を再生したままでミキサーのボタンを押しました。するとどうでしょう、その前後では明らかに音が変わりました!
「どこが違うか説明できる人いるかな?」と紅谷さんが呼びかけると、部員の方から「高い音と低い音が大きくなっています」との答えが。
そうなんです。調整後はベースやバス・ドラムの低音がくっきりとして、ビート感も増したように感じました。同時にハイハットや歌の輪郭も明確になって、サウンド全体がクリアになった印象です。
「これがPAで最初に行うベーシックな作業です。目的は、自宅のスピーカーやヘッドフォンなどで普段聴いている音楽を、PAシステムでも気持ちよく聴けるようにすること。というのも、“良い音”が鳴る状態でなければ、当然、“良い音の演奏”はできませんし、お客さんにも良い演奏ということが伝わりませんからね」
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