特集・コラム

バンド・サウンド向上委員会 episode 2(4ページ目)

ボーカルがよく聴こえるセッティング
〜「抜けの良い音を作ろう」の巻〜

ボーカルがよく聴こえるセッティング

〜「抜けの良い音を作ろう」の巻〜

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chapter 5
「チェック、ワン・ツー」

続いて、今回のテーマであるマイクの調整に入る紅谷さん。

「「ライブ会場では、サウンド・チェックの時間にエンジニアの方がマイクで“チェック、ワン・ツー”と言ってたりします」

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確かによく見かける光景です。実はこの言葉にはきちんと意味があるのだそう。

「チェックの“チェ”とか、ワン・ツーの“ツ”は、ハウリングしやすい言葉なんです」

なるほど、わざとそういう言葉でハウリングしないかどうか確かめるわけですね。

「音がこもってると基本的にハウリングは起きにくいのですが、同時に“かっこいい音”“新鮮なサウンド”にもなりづらいと言えます。音の新鮮さを感じる部分は高い音域にあるんです。そこで、できるだけ高い部分を出しつつ、でもハウリングしたり、耳に痛くならないような音にする、そのために“チェック、ワン・ツー”で、絶妙なバランスを探っていくわけです」

紅谷さんによれば「できるだけ変な音、スピーカーに危ない感じの声を出すといいですよ」とのこと。

Agletのボーカルの方にもやっていただいたところ、“チー”“シー” “シュー”“チュー”などが紅谷さんから高評価でした。

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そしてもちろん、紅谷さんはその間にミキサーをいじって調整していきます。その結果はというと……。

chapter 6
歌詞が聴き取れる!

紅谷さんの調整が終わったところで、再度Agletの皆さんに同じ曲を演奏していただきました。すると、どうでしょう。先ほどよりも歌詞がわかりやすく聴き取れました!

「1回目もきちんと歌えていたんだけど、どんな言葉を歌っているかは聴き取りづらかったんです。それが今はとてもハキハキと聴き取れるようになりましたね」と紅谷さん。

Agletのボーカル、佐藤絹紗さんも「自分の声がかなり聴こえるようになりました」と、その効果を実感されたようです。実はモニター・スピーカーも用意はしてあったのですが、時間の都合で接続していなかったので、バンドはメイン・スピーカーの音を聴きながら歌っていたのです。

またPAを担当されている部長の森若誠也さんにも感想を伺ったところ、「調整前はこもっていた声が、調整後は透き通った感じになりました」と違いを明確に聴き取れたそうです。

HINT!
マイクの音作りは練習でも大切

紅谷さんは、マイクの音作りを練習のときにもやってもらいたいと話していらっしゃいました。

「ボーカルは自分の声が聴こえないと、無意識に大きな声を出そうとしてしまいます。これはムリをしている状態なのでノドを痛めやすいんですね。だから練習のときもマイクを調整して、きちんと自分の声が聴こえる環境を作ることは大切です」

ぜひ実践してください!

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band_beniya.jpg【バンド・サウンド向上委員会 委員長】
紅谷亮次さん

ソウルでポップなバンド、Wabi_Sabiのベーシスト/DJをメインに活躍される一方で、レコーディング、ミックス、そしてPAまで手がけるエンジニアとしてもマルチに活動中。Glenn Music(グレンミュージック)代表。

Wabi_Sabi:http://wabisabi.dip.jp/
Glenn Music:http://www.glennmusic.jp.net/

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