あなたの街のスクール紹介！『TABギタースクール』 | コラム | ミュゥスクレッスン

あなたの街のスクール紹介！『TABギタースクール』

「あなたの街のスクール紹介」の第１回は、東京・幡ヶ谷の地で長年に渡りフィンガーピッキング・スタイルのアコースティック・ギターに特化した教室を開いている「TABギタースクール」を紹介します。アコースティック・ギター・マガジンの連載や数々の教則本やDVDでもお馴染みの打田十紀夫さんが主宰を務めるこの教室には、遠方からも生徒さんが数多く集まります。講師としてだけでなく、ミュージシャンとしても全国をライブで駆け巡る多忙なスケジュールの合間に、お話を聞いてきました。

●スクールの特徴を教えてください。
打田：TABギタースクールは、アコースティック・ギター、中でも“フィンガーピッキング”というアプローチにスポットを当ててレッスンしています。スチール弦のアコースティック・ギターにおけるフィンガーピッキングは、もともとは戦前の黒人のカントリー・ブルースマン達がブルースの弾き語りのために活用していたアプローチで、ピアノのようにギターを弾くことを理想としていました。1920年代からアメリカ南部の各地でブルースマンが活躍しましたが、今のような音楽的情報が得にくい時代でしたので、各地で様々なユニークなスタイルが生み出されたんです。彼らブルースマン達の開発したギター・スタイルは、白人に受け継がれ、今日ではブルースの他にも、カントリー、クラシック・ラグ、ケルティック・ミュージック、ジャズ、民族音楽といった様々なサウンドを弾くことが出来るアプローチに発展しました。TABギタースクールでは、フィンガーピッキング・スタイルで幅広い音楽を楽しむために、各生徒さんのレベルに応じて基本からちゃんと教えていますが、流行の曲などでなく、昔から何年も弾き続けられたトラディショナルの名作を中心に取り上げています。初心者であればなおさらシンプルな名曲に触れることが大切なことなのではないでしょうか。

●TABギタースクールの創設のきっかけは？
打田：TABギタースクールを設立したのは1991年です。それまでは一般的なミュージック・スクールでギターを教える仕事をしていましたが、当時はアコースティック・ギターというより、一般的に“フォーク・ギター”というカテゴリーでしたから、歌の伴奏としてギターを学びたい生徒さんが多く、なかなか自分のやりたい分野を専門にしてやることは難しかったです。一方では、当時すでにリットーミュージックさんのギター・マガジンで、アコースティック・ギターやブルース関連の原稿を担当させてもらったりしていました。そうそう、ライ・クーダーのインタビューもしましたよ。まあ、そんなこともあり、ここはひとつ独立して、フィンガーピッキングに特化した活動をしようと思ったわけです。私の師匠でもあるアメリカのギタリスト、ステファン・グロスマンに相談したところ、全面的に協力してくれるとありがたいお言葉をいただいて、TABギタースクール設立の決心が固まりました。言うまでもなく、ステファンはこの分野を世界に広めた先駆者であり偉大な貢献者です。

●打田さんがそもそもフィンガーピッキングに目覚めたのは？
打田：ギター自体を始めたのは19才の時（1977年）で、そのときは弾き語りがしたかったんです。これは封印した過去なんですが（笑）、実は私は昔は演歌少年で、高校生の頃などはのど自慢大会で優勝したこともあるほどなんですよ。大学に入るために上京したものの、俗にいう５月病のような感じで大学に行かなくなったときに、演歌を歌って仕事が出来る“流し”になろうと思ってギターを始めたんです。今の人は流しなんて知らないかもしれませんね。。。ところが、当時売っていた教本がフォーク・ソングのものばかりだったからか、いつの間にかフォーク、ニューミュージックといった分野も好きになっていきました。そんな中、なんかの雑誌にステファン・グロスマンの原稿が載っていて、ミシシッピー・ジョン・ハートのフィンガーピッキング・スタイルが紹介されていたんです。ワケ分からないまま、その楽譜を追って弾いていたら、当時のフォーク・ソング仲間が「おまえ、うまくなったなあ」と言ってくれたんですよ。“こういうの弾くとうまいと思われるんだな”と、それからフィンガーピッキングにまっしぐらです。ほめられたことで、フィンガーピッキングに目覚めたということですかね（笑）。

●フィンガーピッキングの魅力について。
打田：なんといっても、ひとりで音楽を完結できるところにあります。最初の方で“ピアノのようにギターを弾く”といった話をしたと思いますが、つまりピアノの左手で弾くベースとコードのリズム・バッキングを右手の親指で、ピアノの右手で弾くメロディを人差指・中指・薬指でピッキングするといったアプローチです。つまり、バンドのようにパートを受け持つスタイルでなく、メロディもバッキングもひとりで弾くことが出来るので、ギター１本あればいつでもどこでも完結した音楽を楽しめるわけです。さらに、オープン・チューニングや変則チューニングなどチューニングを変えることでサウンドの幅を広げたり、ボトルネック・スライド奏法といった飛び道具が楽しめるのもフィンガーピッキング・ギターの魅力です。

●生徒さんはどのくらいの期間通っている？どんな人が多いのでしょうか？
打田：長い方は10年以上いらっしゃっている方もいます。設立時からの生徒さんもいらっしゃいますので、その方などはTABに来てもう18年になるんですね。顔を合せば「お互い、歳とりましたね」って（笑）。通うペースもまちまちで、毎週レッスンに通っている熱心な方もいれば、２週間に１回とか、月に１回とか、忘れた頃現れる方も（笑）。チケット制ですので、とにかくご自分のペースで通っていただけます。お仕事の関係などで忙しくなった時期にしばらく休んでからまた再開される方とか、遠方にお住まいでそうは頻繁に通えない方などは上京される機会についでにレッスンを受けられたりとか、無理のないように続けてもらっています。生徒さんの年齢も様々で、血気盛んな10代の若者もいますし、まったりとしたサウンドを目指す60代の年配の方もいらっしゃいますよ。

●現在はライブでも大活躍されてますね。
打田：私は雑誌の原稿の仕事やレッスンなどで長く音楽に携わってきていますが、もともとはライヴ活動を第一の目標にしていました。ただ、私の若かった頃はフィンガーピッキングの分野が盛んではなかったので、自分の音楽活動だけをメインに生活することは不可能でした。ライヴ活動をするためにも、市場を作ることが大切で、好きな人を増やすといった啓蒙活動が必要だと思い、教則関係の仕事にも力を注いできたわけです。幸い、昔に比べればアコースティック・ギター、フィンガーピッキングの分野も認知されてきているので、当初の目的でもあった自分のライヴ活動も徐々に増やしてくることができました。プロレス・ファンということもあり（笑）、そもそもショービジネスが大好きなんですよ。自分のソロ・ライヴの他に、TABでは海外の大物フィンガーピッカーを招聘してのジョイント・ライヴ・ツアーも定期的に開催していますよ。本場の実力者の素晴らしいプレイを目の当たりにすることは、ギターを弾く方々にとってものすごい刺激になるはずですので、特に生徒さんには積極的に参加を勧めています。是非一度、TAB主催コンサートにご来場いただければと思います。一度足を運んでくださった方は、必ず次回も来ていただけるほど楽しいコンサートですよ。この活動も、強豪外人を招聘してのプロレス興行に似ていますね（笑）。ただ、ライヴ開催の時などは、レッスンが変則的になってしまうこともあるのですが、その点だけは生徒さんにご了承いただいています。

●最後に一言。
打田：TABギタースクールでは、ギター教室やライヴ活動の他に、CD、DVD、教則本などの通信販売も行っています。これも、扱っている商品がフィンガーピッキング関連のものが主体です。TABギタースクールで製作した作品から、マニアックな輸入商品まで、ずらり取りそろえています。私が監修したTABオリジナルのサムピックやボトルネックなどもあるんです。もちろん、リットーミュージックさんから出してもらっている私の教則DVDや教則本もラインナップされていますよ（笑）。単にギターを弾くだけではなく、やはり優れた作品に触れ、感性や耳を養うことはとても重要なことです。私もかつては、バイト代のほとんどをLP代に費やしましたよ（笑）。ギター教室、ライヴ活動、通信販売、雑誌での執筆…すべてがリンクした私の重要な活動になっているんです。アコースティック・ギター音楽、フィンガーピッキング・ギター音楽を、より多くの方に“弾いて、聴いて、見て”楽しんでいただくために、今後も活動していこうと思います。フィンガーピッキングという分野にまだあまり馴染みのない方は、まずはお気軽にライヴに足を運んでいただくというのはどうでしょうか？ どうぞよろしくお願いします！

☆この日レッスンに来た生徒さんのＦ君のコメント

「TABギタースクールのレッスンは、他の教室では教えてくれないスライド奏法や、アコースティック・ブルースを学べます。自分は、中でもスライドのレッスンが一番好きです。打田先生のレッスンは生徒の個人のペースに合わせて行ってくれます。打田先生は、かなり朗らかで優しいです（笑）。アコースティック・ブルースやラグタイムは、実際やってみると病み付きになるので、色んな人にトライしてもらいたいです」（22才、入会して５ヶ月）

■「TABギタースクール」の詳細

■打田十紀夫ホームページ