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【対談】講師たちのボヤキあい#2 ~ 野村大輔×富吉晴隆(tomiyoshi guitar school主宰)

祝・サイトオープン1周年!しぶとく続いておりますミュゥスクレッスン。実はひそかにアクセス数も掲載スクール数も増えています・・・これもひとえに音楽を愛する皆様のおかげ。この場を借りて大感謝です!今後もこっそり皆様のお役に立てられるようがんばります!
さて、灼熱の2年目へと突入した当サイトがお送りする不定期コラム「講師たちのボヤキあい」。第二回目となる今回は、弊社刊の教則本やDVDでお馴染みの野村大輔さんが、埼玉県川口市を拠点に「tomiyoshi guitar school」を主宰している富吉晴隆さんの元を訪ねました。お二人とも宮脇俊郎さんに習っていた経験があり、すでに面識もあったとの事。今回はいったいどんなお話が出るのでしょうか…では覗いてみましょう!


野村 はじめまして!sessiontomi.jpg
富吉 はじめまして!ていうか実は…(野村さんの著書やDVDを取り出す)
野村 あれ!?
富吉 そうなんです、実は持っていたんですよー!すっごくお世話になっております(笑)
野村 いやーお恥ずかしい(笑)
富吉 まだ講師になる前、楽器屋さんで「あ、この教則本、なんか良さそう」って思って買っていたんですよねー
野村 ありがとうございますー!恐縮です!
富吉 なので、今こうしてお会いしてお話できるって不思議な感じです!なので今日はたくさん聞きたいことが…
野村 いやいやいや、今日は僕がレッスンを受けにきたんで(笑)マイピックまで持ってきていたりして。(ポケットからピックを取り出す)
富吉 あっ!(笑)
野村 講師同士で、しかも全然違う教室で教えている者同士で会う機会って、なかなか無いですしねえ。研究しないと(笑)
富吉 いやーそれは恐縮しちゃいます!だって何年も前から、野村さんの本とかDVDとか買ってギターの勉強をしていたんですから。と言いつつ、とりあえず一緒になにか弾きませんか!
(しばし、2人でセッション開始)

●富吉さんって?

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(セッション終了)
野村 いやー楽しいですね!
富吉 楽しいです!
野村 では、そんな余韻に浸りつつ、対談もきちんとやらないとリットーさんに怒られるんで(笑)ゆるりと始めましょう!ではまず、富吉さんがギターを始めたきっかけって?
富吉 中学校の時に、友達の家に遊びに行ったら置いてあって、そこで初めてギターを触りました。BOOWYのNO NEWYORKとか教えてもらったんですね。
野村 おー!
富吉 で、ギターって面白いなって思って。その後、学校の文化祭とか見ていて自分も出たくなり、親に「やめるかもしれないけど…」って無理やり安いのを買ってもらって。あの、控え目な性格なんで僕。
野村 普通、「絶対やめないから」って買ってもらうでしょう(笑)その切り口は新しい!
富吉 あはは(笑)で、翌年文化祭に出て…いやーひどかったですねえ。もう、リズムが走るだの演奏中に止まっちゃうだの大変なことに(笑)
野村 実際にバンドで合わせるのって、初心者にはホント難しいですよね。
富吉 で、その後、高校・専門学校(東京ミュージック&メディアアーツ尚美専門学校)と進んで、ずっとバンドを続けてました。いま考えると、ギター教室を開くにあたって必要な基礎とか知識とかは、学校でしっかり学ぶことができましたね。
野村 ちなみに今教室を始めて2年くらいだそうですが、始めたきっかけって?
富吉 元々、学生の頃から自分で何かをやりたいっていう気持ちが強かったんです。で、卒業してからは別の仕事をしていたんですが、たまたまボーカルスクールを経 営している方と知り合いになり、その方と色々話しているうちに「ギタースクールやってみたら?」って言われて、そうか、と思ってすぐ始めました(笑)。そ れが2年前です。
野村 素早い(笑)
富吉 でも実はその時、まったくギターを弾いてない時期で…持っていたギターも売ったり友達にあげたりしていたので、気付いたら手元には1本だけになっていて(笑)
野村 えー!それだとレッスンは…
富吉 なので当初はそのギター1本と、生徒さん用には友達から借りたギターを使ってました(笑)。
野村 まさにゼロからのスタートだったんですね。
富吉 はい。なのでまずは機材を揃えなきゃと、レッスンと別の仕事での収入を合わせ、コツコツと揃えていきました。
野村 徐々にグレードアップしていったと。今この部屋にある機材やインテリアは血と汗の結晶ですね(笑)

●スクールの始め方

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野村 ちなみに、スクールを始める時、まず何からしました?
富吉 まず最初はホームページを作りました。教室が入っているこの建物自体は大々的に看板を出せない場所ですし…ギター1本だけでしたし(笑)。
野村 生徒さんから問い合わせがくるまでどのくらいかかりました?
富吉 最初は全然でした!(笑)2~3ヶ月くらい全く来なくって。で、ホームページを作りなおしたんです。それから、パラパラと来るようになって。で、今のデザインは3代目なんですが、これになって、かなり増えました。
野村 別の仕事をしながらって言ってましたけど、レッスンはいつやっていたんですか?
富吉 自分が休める日にアポをとって、教室に来てもらう、っていうスタイルです。
野村 ということは富吉さんのお休みは無し?
富吉 はい(笑)でもお陰さまで徐々にレッスンのほうが忙しくなってきて、時間が合わず断ることも増え、ジレンマを感じたので、そのとき仕事を夜勤に切り替えました。寝る時間を我慢すればなんとかなるかと。
野村 すげえ。
富吉 半年くらい睡眠3時間の生活でしたよー
野村 そこまで肉体を酷使して、スクールを続けたいっていう原動力はなんだったでしょう?
富吉 うーん。やっぱり好きなギターを仕事にしたいっていうのが大きいですねえ。それと、20歳くらいの頃から、なにか自分でやりたいっていう欲というか夢というか希望はあったんですよ。それが実現できた、っていうのもあります。でもその当時はギタースクールっていう選択肢はなく、服とかカフェとか漠然と考えていたんですが…
野村 あ、なのでインテリアがちょっとお洒落なカフェっぽいですよね。落ち着きますよ、ここ。
富吉 ありがとうございます!既に成功している先輩にそう言っていただけると安心します(笑)

●生徒さんについて

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野村 教室はどういった生徒さんが多いですか?
富吉 圧倒的に初心者のかたが多いです。9割くらい。なので、使う機材も極力シンプルなものを用意しています。こだわりのアンプみたいのとかだと…
野村 まずビビっちゃいますよね(笑)。
富吉 ですよね(笑)。ギターを初めて触る、っていう事は機材も初めて触るっていう事でもあるので。弾き方だけでなく、機材の使い方もレッスンします。「トレブルはこんな感じだよ、ベースはこんな感じだよ」といった感じで…
野村 機材も初めて触る、っていう考えかたは重要ですよね!ちなみにウチも生徒さん用には同じアンプ(VOX pathfinder 10)を使ってますよ。
富吉 本当ですか!なんだか嬉しいです!これ、シンプルなので、初心者のかたに教える時はホントいいですよね。ちなみにセッティングとかどうしてます?
野村 ツマミはとりあえず全部12時の場所で(笑)
富吉 後でいじりやすい、っていう事ですね?
野村 ですです。最初は高音がどうとか低音がどうっていうより、基準となるものを自分のなかに作ることが大事ですし。ちなみに年齢層はどんな感じですか?
富吉 一番多いのが20代で、上は50~60代までいらっしゃいます。下は中学生や小学生もいて、ミニギターも使ってますよ。子供は「ポケモーン」とか言ってます。
野村 あはは、楽しそう(笑)子どもに教えるときって、何か工夫してます?
富吉 小さい子供は30分コースにしているんです。時間が長いと飽きちゃうので。親御さんの上手くしたい想いと、子供の好きな事だけやりたい、っていう思いを上手くバランスをとれるようにレッスンしています。あと、ご夫婦で通われているかたもいますよ。
野村 え、夫婦で!?
富吉 はい(笑)そうなんです。アコースティックギターの生徒さんで。
野村 へーー!そういうのって初めて聞いたかも。どういうきっかけなんでしょうね。
富吉 最初はどちらかがやりたい曲があるっていうのでウチに来て、その後もう片方も引っ張り出してきて(笑)っていう。一人だとちょっと…みたいな不安が、二人揃って通えると安心するみたいですね。
野村 なるほどー。ウチとか宮脇さんのとことかはそういうパターン無いですねえ。この辺はいわゆる住宅地だし、住んでいる方々の傾向って出るのかなあ。
富吉 あるかもしれませんね。近所で通いやすいのか、みなさん入ったらやめずに続けてくれています。
野村 居心地がいいんですね!

●レッスンについて

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野村 さっきも聞きましたが、他にもレッスンで工夫とかしている点とかありますか?
富吉 日夜色々思考錯誤しながら進めているんですけど、復習できるようにしたりとかは重要かと思っていて、録音や動画のサービスをしてます。
野村 あ、ウチもやってます!あれホント効果出ますよね~
富吉 映像は究極ですよね!自分が成長しているのが実感できると、楽しいし続けたくなりますよね。ウチでは、練習メニューの音源と、模範で弾いた音源と、タブ譜とを一緒に渡しています。レッスン中に録音した音源も合わせて、より深く復習できるようにと。
野村 無料ですか?
富吉 はい。これからも新しいツールが出てきたら、どんどん利用して生徒さんにはさらに精度の高い練習をしてもらいたいですね!
野村 ちなみにカリキュラムってどうしてます?
富吉 生徒さんによりけりですが、初めての人なら、もうギターの説明から構え方からピッキングなど基本フォーム。そこから色々志向で分かれます。弾きたい曲に応じての技術だったり、作曲に必要な理論だったり、コードワークだったりとか。
野村 コピーは希望の曲も可能ですか?
富吉 もちろんです。レッスンしていく中で、試行も変わるので、いろいろ変えてったりもしますね。なので、びしっとしたカリキュラムが無いかもしれません。
野村 僕も完全に一人ひとり違うんです。なので全員のファイルがあります。来るたびに、あー次はどうしようかとか、色々考えながら進めます。
富吉 データファイルとか。
野村 ちゃんと残してますねー。いま、問診表も作ってます。
富吉 あ、僕もやってますー。コミュニケーションも深まりますしね。生徒さんにレッスンの成果が見られたりすると、感激します。「教えてもらった事をやってみたら弾けるようになりました」とかあると、うれしいですね。
野村 こっちもやる気になりますよね!
富吉 その場で練習メニューを変えたりもします。フレキシブルに。これが出来ない、ってわかったら、じゃあこっちにしてみよう、とか。こういうのはどんどん蓄積して、より精度の高い、かつ敷居の低いスクールを目指します!

●ギタリストを教える

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富吉 野村さんの教室は、初心者からプロ級のかたまで色々な生徒さんを来ると思うので聞いてみたいんですが、個性が出ている人っているじゃないですか。自己流の癖というか。それが良い癖だったらいいんですけど、決してそうでない事も多々あると思うんです。そういう方にはどうやって対処してるんですか?
野村 個性ある人多いですねー(笑)
富吉 (笑)
野村 たとえば、メセニーとかベックとかヴァン・ヘイレンとか、超人って呼ばれる人達は、何が超人かというと耳なんですよね。あの人たちって、良い音を出すために試行錯誤してたどり着いたそれぞれの弾き方をしているだけなんですよ。普通の人は、まず弾くことに一生懸命で、良い音を出すためのピッキングとかフォームとかはその次になっちゃうのが大半なんです。なので、まずフォームを練習して、いわゆる基準というか、ボーダーライン的なところの音までたどり着いて、その後に特殊な奏法にいくとか、ワンステップ作ってあげるっていう風にしてますね。
富吉 根幹の部分をしっかり作って、枝葉的なものを自分で作っていくっていうサポートですね。その過程で壁に当たったとき、どこまで教えていいのかっていうボーダーラインってありますか?
野村 延々と繰り返す単純作業をやっておく、っていうのも最初は必要じゃないですか。でも、音の良し悪しの判断基準がまだ無い状態なんですよね。その際に、良い弾き方と悪い弾き方を、まったく同じテンポで同じコードで2種類を弾き比べてあげて「どうだった?」って聞くと、ちゃんとした答えが返ってくるんですよね。そうすると、自分で「雑だった」とか「ふくよかだった」みたいなのができるようになってくるんですよね。
富吉 悪い所がわかってはじめていい所が見えてくる、みたいな。比較対象があるとよりわかりやすいですよね。
野村 あと、いい所と悪いところを両方見つけて言ってあげるっていうのも大事かと。でもこれって生徒さん一人ひとりで受け止め方は違うので、その辺の見極めも重要な気がします。

●講師も鍛練!

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リットー 前回のこの対談では、宮脇さんが、「教える側になってとても練習するようになった」って言ってましたけど、お二人はどうですか?
野村 それすっごいわかります!
富吉 わかります!「このままではいかん」って本当に思う事多いです。教室始めてから、かえって色々勉強するようになりました。用語の使い方とかって、あらためて考えると実は難しいんですよね、ギターって。ちなみに今こういうこと練習してますよー(ギターを持つ)弾けるようになる、っていうより、どう説明するか、をシミュレーションしながら練習してますね。
野村 重要ですよねー!えらいなあ。解説してみると、レッスンの進め方や流れも見えてきますよね。他人のも参考にしたりしますね。そういう意味でいうと、発表会とかできるのっていいですよねー
富吉 そうですよねー。人に聴いてもらう、見てもらうっ事って、家でこもっていた人も新たな発見があると思うんですよ。
野村 またそこで輪が広がったりしますしね。
富吉 音楽仲間の広がりを求めている人もいるんですよね。ウチでは生徒さん同士の交流会をやったり、みんなで工房を見学しにいったり。ただ単に来て習って帰る、だけじゃなくてそういうイベントも盛んに行っていきます。
野村 みんなでセッションとかもいいですよね!合宿とか。
富吉 それ楽しそうですね!他の教室さんと一緒に合同で合宿ができたら楽しそうです!
野村 普段と違う先生とかに習っても面白いですね!
富吉 いろいろなネットワークが広がりそうです!生徒だけでなく、教室や講師側も。
野村 そのつながりが広がっていくと、対抗戦とか大会とかもできそうですね!北海道代表とか(笑)ギター合戦とか。それには、各スクールさんと生徒さんの信頼関係をしっかりしないとですよね。
富吉 そうですね!ホント、音楽ってコミュニケーションの手段ですよね。自分で楽しむだけでなく、他人を感動させることができるし…そこから生まれる、人とのつながりとか大事にしたいですね。
野村 ホントそうですね。
富吉 人に認めてもらうと楽しいですしね。「お前のギター最高だよ!」なんて言われたら、もう(笑)。あと、プロの現場も見せたいですよねー、レコーディングとかそういうのも。野村さんの現場をぜひ!生徒の中には、趣味の人もいれば本気の人もいるので。そういう人には、いろんな現場を体験させてあげたいんですー
野村 僕、たとえば本気志向の子には、ライブとかのリハを見せたりしますね。色んな場所で出音を聴かせるんです。家で弾いてるのとは全然違う感覚になるから、みんなすごく勉強になりますよー
富吉 それ、いいですね。僕もやってみようかな。
野村 ぜひ!生音とPA通した音って全然違うのを知ってもらうのはいいですよー
富吉 さっきも話題に出てきた、基準が見せられるっていう事につながりますよね。はじめてライブやるときって、何がいいのか悪いのかわからない事を考えると、そういったプロの現場では体感できますよね。
野村 大きい会場とかでライブ見ると、完成された音が聴いている事になりますから、その過程を勉強してもらうのはいいですよね。
富吉 どういうやり取りがあるとか。
野村 実戦的ですね。課外授業になります。
富吉 ただ習うだけじゃなくて、ホントいいですよね。
野村 ねえ。皆でセッションしてみたいですね!
富吉 あ、練習しなきゃ。いずれは僕も野村さんや宮脇さんみたいに本出したいです!
野村 あ、いい出版社紹介しますよ!

(2010年7月 埼玉県川口市 tomiyoshi guitar schoolにて)

→野村さんのスクール「野村大輔プライベートレッスン」の詳細情報はこちら!

→富吉さんのスクール「tomiyoshi guitar school」の詳細情報はこちら!

ブログも必見!
→野村大輔 「放課後Plug in 同好会」
→富吉晴隆 「tomiyoshi guitar school official blog」

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