SAKANAMON（藤森元生、森野光晴）
インタビュー

■日本工学院に入学したいきさつは？

藤森 僕は小学生のときからギターに興味があって、中学でコピーをやるようになり、高校でオリジナルのバンドを始めたんです。そのバンドで宮崎から上京しようと3年間頑張って、ついに上京することが決定したんですけど、その直後に解散してしまいまして……。でも日本工学院に行くことは決めていて、単独で上京することになったんです。

森野 僕は兄と姉の影響で中学時代にバンド音楽がカッコいいと思うようになり、高校生になってベースを始めました。で、コピー・バンドを経てオリジナル曲をやるバンドをスタートさせたときに、専門学校に入ろうかなと。

■なぜ音楽学校で学ぼうと思った？

藤森 一緒に上京するはずだったバンドが解散した時点で人間関係に疲れまして（笑）、宅録をやろうと思ったんですね。ひとりで曲を作って歌って打ち込んで、しかもインターネットもあるから自分の音楽をいくらでも世の中に聴いてもらえるはずだって。じゃあ、それをやるにはどうすればいいんだと思ったときに、まずはレコーディングができるようになろうと。僕らふたりともレコーディングクリエイター科出身なんですよ。

森野 今のドラムの木村（浩大）も日本工学院の同級生でしたね。僕は遊びの延長でオリジナルのバンドをやっていた程度だったんですけど、音楽に関わる仕事をしたいとは思っていて。機材もけっこう好きだったので、それならエンジニアのコースに行ってみようと。

■入学してから印象的だったことは？

藤森 すっごく小さいことなんですけど、実用的だったのは（ケーブルの）8 の字巻きとか機材のつなぎ方を教わったこと。

森野 ハハハ、すごい基本じゃん！この学校は機材がしっかりしていて、ProTools をひとり1台のパソコンで触れるのは学生ではなかなかできない体験じゃないかな。あと、校内のバンドをレコーディングしたり、自分たちの演奏を録音したり、おもしろかったですね。そのときに初めて藤森君の歌を聴いて、歌がうまいって知ったんです。

■バンド結成に至った経緯は？

藤森 僕は上京前にバンドがなくなってから何もやる気が起きないというか、ひとりでやりながらも完全に堕落していた状態だったんです（笑）。でもあるとき、クラスの友達が遊びのバンドに誘ってくれて。そのバンドを森野君が観に来てくれたのが始まりですね。

森野 わりと卒業間際だったよね。それまでも実習の班が一緒だったりして話したことはあったけど、お互い人見知りで。だけど、藤森君のライブを観に行くようになった卒業間際ぐらいに“ こういう音楽を作ってる” ってデモCD を渡されて。それは藤森君が学生時代の2 年間で作った2曲だったんですけど。

藤森 うん、たった2 曲（笑）。

森野 ひとりで全部打ち込んで、ギター弾いて、そのCD にすでに“SAKANAMON” って書いてあって……。で、それがすごくカッコよくて、ちょうど僕のバンドも活動休止してたし一緒にやってみたいなと。それがなければ何事もなく卒業してたかもしれない。

藤森 そうだね。自分が録りたいと思った音を録る技術は学べたし、またバンドをやろうっていう気持ちになれたし、この学校に入ったことには充分に意味がありましたね。

森野 あと、SAKANAMON は基本的に藤森君が曲を作るんですけど、そのデモの段階でかなりクオリティが高いんですよ。音楽の作り込み方をメンバーがわかってるというのは、学校で学んだことが大きいんじゃないかな。

藤森 とにかく曲を録るための技術を手に入れようっていう学校生活だったけど、日本工学院って本当に自由度が高いんですよ。それに特化した授業を受け放題なわけだから。

森野 でも、僕らはエンジニアのコースに行ったのにエンジニアになっていないっていうのも面白い（笑）。音楽学校には本当にいろんな人がいるし、こういうふうに人生が変わっちゃうぐらいの出会いもあるんですよね。

『あくたもくた』
SAKANAMON
ビクター／ Getting Better
VICL-64336