特集・コラム

将来的なビジョンを持っているなら学校で学ぶことはそこに近づく一番の近道

20170501_interview1.jpg

中浦公平(ESP クラフトハウス/
オフィシャル・リペアマン)インタビュー

■ESP ギタークラフト・アカデミー(以下GCA)に入学した経緯は?

もともとバンドをやっていて、あるときギターのピックアップを交換しようとショップに依頼したんです。そこで自分でもできるのではないか、自分でやってみたいと思ったのがきっかけで、ギター製作の道に進もうと考えました。以前から本棚を自作したりと、木工が好きだったことも理由のひとつですね。で、高校を出たらすぐにクラフト系の学校に行こうと思ってたんですが、親の意向もあって大学に進むことにして、卒業後に GCAに入学しました。

■GCAを選んだ理由は?

別の学校も見に行きましたが、GCAは生徒の年齢が幅広くて、僕と同世代の人や社会人も通っている環境だったので選びました。それと、ESP に対する憧れがあったことも大きいですね。好きなアーティストが ESP の楽器を使ってましたし、ESP には独創的なシェイプのギターも多いので、GCAで学べば自由な形の楽器を作れると思ったんです。

■ギター製作の学びは、どんなことから始まるのでしょう?

まずは自分が使う道具をきちんと整備する方法や、それをどう使うかを学びます。同時に木の性質を知る授業もありますし、早い段階から実践的なギター作りにも取り組みますよ。各部の知識から歴史まですべてがためになりましたし、作る側・直す側だからこそ知っておくべきことを学ぶ中で、楽器に対する理解が一気に深まりました。

■難しさはなかった?

その時点で自分が持つ最高の力を出そうと努力するわけですが、プロである先生方が作るギターと比べると出来が良くなかったり、最初はなかなか思いどおりのものが作れなかったですね。そんな中で改めて楽器に接して気づくことも多かったですし、自分で作ってみて初めて市販の楽器のすごさもわかりました。

■現在リペアマンをされていますが、リペアの方向に進んだ理由は?

1年次は製作系の授業が主ですが、2年次からはコースを選ぶことができ、僕はリペア&カスタマイズコースに進んだんです。当初はギター製作を志していましたが、担当の先生がリペアに精通した方で、その技を間近で見るうちに、これはスゴイと。同じ楽器でもリペアマンが手を入れることで、鳴りがまったく変わったりするんですよ。それで一気にリペアに興味が向いたんです。

■クラフトとリペアの違いとは?

クラフトは仕上がりのイメージを持って楽器を1 からすべて作ります。それに対してリペアは既存の楽器を直す、あるいは良くするものですね。1から作るものであれば 1から直せますが、既存のものはすでに 8ぐらいの状態にあるものを10に仕上げるので、アプローチは違います。リペアの仕方によって、音も弾き心地もガラリと変わりますよ。

■リペアマンとして心がけているのはどんなことですか?

楽器のポテンシャルを最大限に引き出すことですね。数々の楽器を手がけてきた経験から、触れればどの部分を改善すればいいかは見えてくるので、依頼されたことだけでなく、こちらから改善点を提案することもあります。しかも調整する度合いは弾き手によっても違うので、お客様一人ひとり、楽器1本1本に合わせてポテンシャルを100%に持っていくリペアを目指しています。特に現職はお客様とダイレクトに接することができるので、より深く話を聞き、より深いリペアをできるのが魅力です。自分がリペアした楽器を手にしたお客様が笑顔になってくれると、本当に嬉しいですよ。

■最後に、学校で学ぶ意義とは?

知識はインターネットなどでも得られますが、実際に作る・修理するということに関しては技術や感覚が必要で、学校で学ぶ意味はそこにあります。ギター製作やリペアは奥深いので学校はスタート地点に過ぎませんが、でもまずスタート地点に立つことが重要なんです。GCA はしっかりしたサポートをしてくれる学校ですし、意欲のある人にとってはいろんなことを試せる場でもあります。将来的なビジョンを持っているなら、そこに近づく一番の近道だと思いますよ。

【Shop Information 】
ESP クラフトハウス

〒150-0041 東京都渋谷区神南 1-20-16 高山ランドビル 2F
MAIL:crafthouse@espguitars.net
TEL:03-3496-4850
WEBSITE:www.espguitars.co.jp/shop/crafthouse/

ESPをはじめとする多様なギター&ベースをそろえるプロショップで、同社オーダーメイドも受け付けている。凄腕リペアマンの中浦さんが常駐している点も魅力で、メンテから改造まであらゆる相談に応じてくれる。上階には 2015 年設立の ESPミュージアムもあり、激レアのビンテージやアーティスト本人が使用した実機が多数展示されている。