芳賀義彦インタビュー

■東京スクールオブミュージック専門学校渋谷（TSM 渋谷）に入学する前の音楽歴は？

最初に触れた楽器はトランペットで、小学校の吹奏楽部で4年生から6年生までやっていました。ギターを始めたのは中学2 年のときです。友達がギターをやっていて、自分もできる気がして（笑）。当時はhide やB'z のコピー・バンドをしていました。

■TSM 渋谷に進学した経緯は？

TSM の卒業生、ギタリストの黒田晃年さんに高校のときからギターを習っていたんです。それで、“ 音楽の道に進みたいなら専門学校に行くといいよ”ってアドバイスをもらって、だったら黒田さんも通っていた音楽の専門学校にしようかと。ほかの学校へ体験入学に行ったりもしましたが、TSM 渋谷は学校自体の明るい雰囲気が良かったし、最終的に黒田さんの勧めもあって決めました。

■入学してみてどうでしたか？

高校生の頃は、身近にいたギタリストは友達と黒田さんしか知らなかったようなものなので、TSM 渋谷では講師の方々や同級生も含め、いろんなギタリストを見るようになりましたね。ずいぶん視野が広がったと思います。

■特に印象に残っている授業は？

アンサンブルの授業ですね。高校時代のギター・レッスンとは違って、周りの人と音を出すことが楽しいと思えるような授業でした。“ こういうアプローチもあるんだな”とか、“ 君がこう来るなら俺はこうする” とか、セッション要素みたいなことをその授業で学びました。

■TSM、TSM 渋谷はプロの現場に近いという印象もあります。

ええ。僕も在学中に、K-POPヴォーカリストのユンナさんのPV 撮影のお話をいただきました。それが“ 初仕事”です。

■卒業後にプロとして活動するようになったいきさつは？

在学中に出会った友達の勧めで嵐のバック・バンドのオーディションを受けて、合格したのがきっかけです。間違いなく、この学校に行っていなかったらできなかった仕事だと思いますし、そこから広がった縁で今に至っています。

■学校で得た知識や経験で、今の仕事に役立っていると感じることは？

実技はもちろんですけど、いわゆる座学……音楽理論やイヤー・トレーニングの授業はすごく役に立っています。やっているのといないのでは全然違うと思います。譜面にも強くなりましたね。授業で、先生がその日に練習する曲を書き譜で渡してくれたり、実際に現場で使っている譜面を見せてくれたりして、譜面に慣れていったというのが大きいです。高校時代もある程度は読めていましたが、曖昧に覚えていたリハーサル・マークがちゃんとわかるようになったりとか、本当に役に立っていると思います。

■また、音楽仲間ができるというのも学校に通う利点のひとつですよね。

そうですね。当時の友達とは今でもつき合いがありますし、中にはプロ活動している人もいて、刺激になります。そういう友達ができたのはとても良かったです。

■これからどんな活動をしていきたいですか？

どの現場でも爪痕を残せるギタリストでありたいですね。“ そういえばあんなギタリストがいたな”じゃなくて、“ 芳賀がいたな” って思われるような。

■そこにはきっと、現場でのふるまいも含まれますよね。

そうですね。よく言われることですけど、やっぱり上手いだけじゃ駄目で、人間性もしっかりしていないといけない。時間を守るとか、挨拶をちゃんとするとか、メールの書き方とか、そういう基本的なこと
は常に気をつけています。

■音楽学校への進学を考えている人やプロ・ミュージシャンを目指す人に向けてアドバイスできることはありますか？

やっぱり音楽仲間がいるといないのでは全然違うと思うので、そういう意味でも学校ってすごく重要な場所だと思います。でも、学校でたくさん音楽の友達ができて、そういう環境に置かれたことで変に安心したりしないでほしいですね。結局自分は自分なので、もっと向上心を持って……なんてカッコつけたことを言ってますけど、自分はそこまでしっかりしていなかったと思います（笑）。とにかくどんな環境に置かれても、好きなことはずっと突き進んでほしいですし、ずっとギター少年であってほしい。そうすれば道は開けていくんじゃないでしょうか。