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将来の道を決め込む必要はなくて、むしろ在学中にどう学ぶかが重要

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安藤嘉浩(ギター製作/企画/開発)株式会社フェルナンデス 企画開発統括部 課長 インタビュー

■フェルナンデス・ギターエンジニア・スクールに入学したいきさつは?

もともと理系の大学に行っていて、そのまま就職する道もあったんですが、どうしても楽器作りをやりたかったんです。それで大学3 年になって進路を考えたときに、せっかくやりたいことがあるんだから、大学はきちんと卒業したうえで、その道を目指そうと。で、都内のいくつかのギタークラフト校の説明会に行って、このスクールに決めました。ほかに大きな学校もあったんですが、生徒が多いために1日のカリキュラムが少なかったり、製作の授業が限られていたりして。その点ここは朝9時から夕方6時まで学校が開いていて、1日最長9時間も勉強できる環境がある。理系就職の道をそれてまでギター製作を学ぶことに決めた以上、少しでも多く、しっかり取り組めるところに行きたかったんです。

■実際に入学してみての印象は?

やりたかったことができる環境に入って、毎日ワクワクしながら通ってました。どんなふうにギターが作られるのかも知らなかったんですが、とにかくストイックに勉強したくて、わからないことがあれば何でも先生に質問しました。木材の知識からリペアの仕方まで幅広く教えてもらいましたし、日々学んでいく過程がすべて役立ちましたね。

■卒業してからの進路は決めていたのですか?

明確には絞り込んでいなかったです。クラフトを学んだとしても、製作家だけでなく、楽器屋で働く人もいれば、リペアマンになる人もいれば、量産品を作る工場に務める人もいるというふうにいろいろ枝分かれしていくわけです。そういう中で2 年生になって進路を考え始めたときに、フェルナンデスの企画開発部門でアルバイトをしてみないかというお話をいただいたんです。まずはとにかく、この業界に入ることが大事だと思っていたので、“ ギターに関わる仕事をやれるなら何でもいい”ぐらいの気持ちで飛び込みましたね。

■ギター製作を専門に学びながらも、就職先としてはさまざまな方向があると。

ええ。楽器に関わる以上、このスクールで学ぶことはすべてプラスになるというか、どこかしらで必ず役立ちます。卒業後はいろんな選択肢があるので、始めから将来の道を決め込む必要はなくて、むしろ在学中にどう学ぶかが重要だと思いますね。スクールの2 年を全力で頑張ることで、その後のモチベーションも違ってくるというか、たとえばリペアしかできないのではなく“ リペアもできる” というふうにプラス方向から業界に入っていけますから。ギター製作やそれに関わることをやりたいという強い意志があれば、可能性はどんどん広がりますよ。

■現在はフェルナンデスで企画開発を担当されていますが、具体的な仕事内容は?

入社した当初は、主としてモニター・アーティストの楽器製作、改造、修理を担当していました。プロがステージで使うための楽器開発に始まり、それを製作して渡し、壊れれば直し、問題点があれば改善していくという仕事です。BUCK-TICK の今井寿さんや星野英彦さん、DEAD END のYOU さんやJanne Da Arc のyou さん、ROLLY さんや横関敦さんらと関わり、楽器としては数百本は手がけてきました。その後、企画開発の全般を任せられるようになってからは自社製品の開発や生産管理、楽器に関する新しいテクノロジーなどの技術開発にも関わるようになりました。

■この仕事の醍醐味はどんなところにありますか?

楽器分野における新しい技術の開発や、それを用いた楽器製作というのは、世界でひとつだけのものを作るということなんですね。さらに、それをプロのミュージシャンや一般ユーザーの方々に使っていただけることを考えたら、大きなやり甲斐があります。

■最後に、読者へアドバイスを。

とにかく、どう学ぶかが大事。2年間は本当に短いですし、特に好きなことを学んでいるとあっという間に過ぎてしまうので、1分1秒を大事に、楽器のことだけを考えるぐらいのつもりで入学したほうがいいと思います。このスクールは授業時間も多くて、やろうと思えばどれだけでも学べる環境があるので、本当の技術や経験を身につけられますよ。

【Information】
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アーティスト・モデルから市販品の製作や技術開発まで、安藤さんが所属する企画開発部門の仕事は多岐にわたる。本器はオリジナル・シェイプに独自技術のサスティナーを装備したフェルナンデス・ラヴェル・シリーズの1 本で、まさに“世界にひとつだけ”の製品を生む同部門の醍醐味が光る。