ホーム > 特集・コラム > 「バンドで曲作り」どうしてますか?
バンドでの曲作りにもいろいろな方法がありますよね。 代表的なものを下に挙げてみました。
ほかにもいろいろあると思いますが、プロの方々はどうしているのでしょう?
というわけで、打首獄門同好会の大澤敦史さん、河本あす香さん、そしてパスピエの三澤勝洸さんに教えていただきました。
さらに、音楽学校メーザー・ハウスで講師を務められているプロデューサー/作編曲家/作詞家の原田さんにも、アドバイスをいただきました
打首獄門同好会は、7弦ギター轟くラウド系ロックサウンドとユルめの日常系歌詞世界の強烈なコントラストで、唯一無二の存在感を打ち出しているスリーピース・バンドです。
まずは作曲を手がける大澤敦史さんに伺ってみました。
■最初にデモ音源を作るのですか? それともセッションで作っていくのでしょうか?
大澤 両方ありますが、うちはまずデモから作り込む曲の方が多いです。ある程度、できては壊しながら作るスタイルなので、全員でそれをやってると時間かかっちゃうんですよ。
■曲の方向性やサウンドのイメージは、どのようにメンバーの方へ伝えられるのですか?
大澤 曲によって、あるいは部分部分で、イメージが固まってるところはキッチリとデモを作って伝えたり、曖昧なところは曖昧なまま持っていって任せたり、相談したりします。ケースバイケースです。
■曲作りで注意されていることは何でしょうか?
大澤 ライブをイメージすることですかね。“歌を詰めすぎて呼吸が続かない”“キー的に出ない”“お客さんがノリについてきづらい”なんてところは早めに気付けるよう心がけています。
次に、ドラマーの立場から見た曲作りについて河本あす香さんに伺ってみました。
■何をヒントにフレーズを考えていかれますか?
河本 まずデモ音源を聴きこんで、その雰囲気を壊さないようにギターボーカル(メイン・ボーカル)と相談しつつフレーズを考えてます。
河本 自分は歌いながらドラムをたたくことが前提なので、歌がぶれないようにたたけるフレーズを考えたり、歌いながらでも音量がぶれたりしないよう自然に聴こえるようにたたける努力をしてます。
■曲作りで一番楽しいと感じる瞬間は?
河本 何かちょっとした物にハマって、「これ曲にしよう!」って言ってホントに曲になって、真剣にアレンジ考えて歌入れしたりしてるとき、バカバカしい曲であればあるほど楽しいです(笑)。
『やんごとなき世界』
打首獄門同好会
2017年1月に発売されたミニアルバム。無性に魚が食べたくなる「島国DNA」、聴いているだけで口の中がムズムズする「歯痛くてfeat.Dr.COYASS」など、深層心理をえぐりまくる(?)8曲を収録。
■公式サイト: http://www.uchikubi.com/
パスピエはキーボード/作曲の成田ハネダさんを中心に結成されたニュー・ウェーブ感覚のロック・サウンドが魅力の5人組。 そのギタリストである三澤勝洸さんに伺いました。
三澤 まず、メロディを聴いて覚えます。ボーカルのラインとギターのフレーズが音域的に近くなることが多いので、音が当たらないように注意しながらフレーズを作ります。
■演奏の方向性や音のイメージについては、成田さんから提案があることも?
三澤 「あの曲のあの感じ」みたいな具体的なときもあれば、「ギターはピロピロして」みたいにざっくりした提案のときもあります。基本的には自分でアレンジを持っていって、ハマればOKという感じです。
■アレンジはセッションで作っていくのですか?
三澤 基本的にはセッションで作っていますが、ゼロから作るということではなく、フレーズや構成など、それぞれアイデアを持ち寄って、そこから広げていくという感じでやっています。
■アレンジで大切にされていることは?
三澤 メリハリですね。そのセクションで何を目立たせるべきなのかを考えます。メンバー全員が100%のことをやっても、合わせたときにごちゃごちゃしてしまうだけなので。抜き差しは本当に大事です。
『&DNA』
パスピエ
4枚目のフルアルバム。精緻に組み立てられたアレンジと躍動感あふれるバンド・サウンドが高度な次元で両立。大胡田なつきの突き抜けるようなハイトーン・ボイスにもますます磨きがかかっている。
■公式サイト: http://passepied.info/
by 原田雄一 先生(作曲/DTM講師)
ポイント1
まずはワンコーラス分のコード進行とメロディ作りにトライ
曲全体を完成させるのは後からでもOK。ワンコーラス分(1番のAメロ、Bメロ、サビまで)のコード進行とメロディを作ったらメンバーに聴かせましょう。歌詞もあるとメンバーが雰囲気をつかみやすくなります。
ポイント2
ドラム・パターンのイメージと参考曲で方向性を伝えよう
バンド・アレンジではメンバーの自主性を尊重することが大切。ただし、ドラム・パターンはジャンル感や方向性を決める上で大切なので、これはメンバー全員でイメージを共有してください。参考曲が1〜2曲あるとわかりやすいでしょう。
ポイント3
バンド・アレンジのキモはコミュニケーション
各自でフレーズを考えたら、一回合わせて演奏してみましょう。そのとき、「1:ベースとドラムが合っているかどうか」「2:ギターやキーボードが“弾きっぱなし”になっていないかどうか」をチェック! 盛り上がりを作るには “抜き差し”が大事。弾かない部分を作るのも大切なアレンジです。全員で作り上げる意識でアレンジに臨みましょう
ポイント4
いろんなジャンルの曲をコピーしてみよう
曲作り/アレンジ上達のコツは何といってもコピー。レジェンドクラスのアーティストから流行の曲まで、いろいろな曲に挑戦しましょう。自分の担当以外の楽器も聴くようにすると抜き差しのコツもわかるようになります。ぜひ、楽しみながら学んでください!
『軽音マガジン 2017 Vol.1』 トップ・ページへ
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