特集・コラム

「映画音楽」ってどうやって作るんですか?

大阪音楽大学の特任准教授の方にお尋ねしました

映画やゲーム、CMの音楽には、いわゆるアーティスト作品とはまた違った魅力がありますよね。

恐らく、そうした音楽に感動した経験がある方も少なくないでしょう。これらは 「商業音楽」   と呼ばれることもあるのですが、その作られ方については、あまり知られていません。

そこで本記事では『舟を編む』など多数の映画音楽を手がけ、大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻の特任准教授でもある渡邊崇先生に、映画音楽の制作過程について教えていただきました。

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ライブをイメージして
曲作りすることを心がけています


商業音楽には「依頼者」がいる

■あらためてお伺いしたいのですが、作曲家である渡邊先生からみて、いわゆる「商業音楽」とはどういうものであると捉えていらっしゃいますか?

渡邊 いろいろな解釈の仕方がありますし、“商業ベースにのっているものはすべて「商業音楽」です”という分け方もできますが、今回は「音楽を必要としている人からの依頼を元に、対価を得て提供する音楽」と定義してみます。映画音楽やCM音楽などをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。ちなみに、音楽がなくても映画が成立するなら、映画は音楽を必要としません。

■では「商業音楽」と、いわゆるアーティストの方が自分のための曲を作るときとの一番の大きな違いは、どこにあるのでしょうか?

渡邊 “誰のための音楽であるのか”というところに大きな違いがあります。ここでいう「商業音楽」には音楽を必要としている依頼者がいます。依頼者にはそれぞれ目的があり、その目的を達成するために音楽を必要としています。曲を作るときには、その目的についてよく考える必要があります。映画であれば、登場人物の気持ちやストーリーの音楽による補強がその目的にあたります。一方、アーティストにはアーティスト自身のメッセージがあり、それを伝える楽曲は、それに賛同し、支えるファンのために作られていると言えます。

“共感”をアシスト

■では、「商業音楽」が制作される過程について、映画を例に教えていただけますでしょうか? そもそも映画音楽はどのような流れで作られるのですか?

渡邊 脚本を元に主要となる旋律や楽器のイメージを固め、作曲を始めます。次に撮影が終わり、映像の編集が終わると、事前に書き進めておいた曲を合わせ、精密なアレンジを施していきます。併せて新曲も書きます。ここまでの作曲はすべてコンピューターに搭載したさまざまな楽器をシミュレーションしたソフトとDAWにより行われます。そして、すべての曲のデモが出来上がるとスタジオに入り、本物の楽器によって録音を行い、映画用のミックスを施し、映画音楽は完成します。ちなみに1本の映画では平均して30曲程度用意します。

■その過程では、やはり監督の方とも打ち合わせをされるのでしょうか?

渡邊 登場人物の気持ちの動きについて、議論を重ねます。映画を観ている人が、その気持ちに自然に寄り添え、共感できるようにアシストするのが音楽の役割です。物語の起伏、感情、想いをまずは監督と共有します。

■では、映画音楽作りにおいて最も大切なことは何でしょうか?

渡邊 映像には監督をはじめとして、脚本、俳優、カメラ、照明、美術、衣装などさまざまな役割の方々の思いや意図が込められています。その意図を汲み取り、寄り添い、時に増幅させることが最も大切です。

心の動きに注意深くあること

■映画音楽作りの醍醐味はどんなところにあるとお考えですか?

渡邊 誰かが作るまで、存在すらしなかった世界、物語が映画にはあります。自分の頭の中で考えたものが、ある日を境にこの世の中に存在しはじめます。何かが誕生する瞬間に立ち会えることには大きな喜びを感じます。さまざまな楽器や音楽のジャンルを駆使し、映画を通して誰かに伝えたい想い、物語を語り続けるというのは、とても素敵なことです。

■映画音楽の作曲家になるためには、どのような勉強が必要ですか? 特に高校生のときから心がけておいたほうがよいことを教えていただければと思います。

渡邊 作曲の勉強はもちろんですが、映画を観たり、本を読んだり、美しいものに触れたときの自分の心の動きに常に注意深くあることをお勧めします。その時、自分の心がどのような動きを見せたか、どのような形に、色に変化をしたかを観察し、記憶しておくことが重要です。素敵な音楽を聴いて感動したとき、そのような曲を作りたいと思ったならば、同じ音符の配列を持った音楽を作るのではなく、自分の心が同じ反応をする音楽を作るべきです。 

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軽音楽部の皆さんへ
渡邊先生からのメッセージ

渡邊先生から、軽音楽部で練習に励んでいる皆さんへの応援メッセージをいただきました!

音楽は“センス”と“技術”で構成されています。センスは経験の積み重ねであり、技術は鍛錬の賜物です。どちらも身に付けるには時間を要します。

だから毎日、とにかく音楽をすることです。

そして、世界がつまらないと感じるのであれば、その原因は経験の足りない自分にあると思って間違いないです。知らないものは見えてこない。知らないからこそ、つまらない。

世界も未来も自分の行動一つで大きく躍動を始めるものです。

お互い頑張りましょうね。

下の写真は先生が教えられているミュージッククリエーション専攻の授業風景です(クリックで拡大できます)。こんな風に「毎日音楽」して“センス”と“技術”を身に付けていくんですね

商業音楽には「依頼者」がいる

●あらためてお伺いしたいのですが、作曲家である渡邊先生からみて、いわゆる「商業音楽」とはどういうものであると捉えていらっしゃいますか?
渡邊 いろいろな解釈の仕方がありますし、“商業ベースにのっているものはす
べて「商業音楽」です”という分け方もできますが、今回は「音楽を必要としている人からの依頼を元に、対価を得て提供する音楽」と定義してみます。映画音楽やCM音楽などをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。ちなみに、音楽がなくても映画が成立するなら、映画は音楽を必要としません。
●では「商業音楽」と、いわゆるアーティストの方が自分のための曲を作るときとの一番の大きな違いは、どこにあるのでしょうか?
渡邊 “誰のための音楽であるのか”というところに大きな違いがあります。ここでいう「商業音楽」には音楽を必要としている依頼者がいます。依頼者にはそれぞれ目的があり、その目的を達成するために音楽を必要としています。曲を作るときには、その目的についてよく考える必要があります。映画であれば、登場人物の気持ちやストーリーの音楽による補強がその目的にあたります。一方、アーティストにはアーティスト自身のメッセージがあり、それを伝える楽曲は、それに賛同し、支えるファンのために作られていると言えます。
“共感”をアシスト
●では、「商業音楽」が制作される過程について、映画を例に教えていただけますでしょうか? そもそも映画音楽はどのような流れで作られるのですか?
渡邊 脚本を元に主要となる旋律や楽器のイメージを固め、作曲を始めます。次に撮影が終わり、映像の編集が終わると、事前に書き進めておいた曲を合わせ、精密なアレンジを施していきます。併せて新曲も書きます。ここまでの作曲はすべてコンピューターに搭載したさまざまな楽器をシミュレーションしたソフトとDAWにより行われます。そして、すべての曲のデモが出来上がるとスタジオに入り、本物の楽器によって録音を行い、映画用のミックスを施し、映画音楽は完成します。ちなみに1本の映画では平均して30曲程度用意します。
●その過程では、やはり監督の方とも打ち合わせをされるのでしょうか?
渡邊 登場人物の気持ちの動きについて、議論を重ねます。映画を観ている人が、その気持ちに自然に寄り添え、共感できるようにアシストするのが音楽の役割です。物語の起伏、感情、想いをまずは監督と共有します。
●では、映画音楽作りにおいて最も大切なことは何でしょうか?
渡邊 映像には監督をはじめとして、脚本、俳優、カメラ、照明、美術、衣装などさまざまな役割の方々の思いや意図が込められています。その意図を汲み取り、寄り添い、時に増幅させることが最も大切です。
心の動きに注意深くあること
●映画音楽作りの醍醐味はどんなところにあるとお考えですか?
渡邊 誰かが作るまで、存在すらしなかった世界、物語が映画にはあります。自分の頭の中で考えたものが、ある日を境にこの世の中に存在しはじめます。何かが誕生する瞬間に立ち会えることには大きな喜びを感じます。さまざまな楽器や音楽のジャンルを駆使し、映画を通して誰かに伝えたい想い、物語を語り続
けるというのは、とても素敵なことです。
●映画音楽の作曲家になるためには、どのような勉強が必要ですか? 特に高
校生のときから心がけておいたほうがよいことを教えていただければと思います。
渡邊 作曲の勉強はもちろんですが、映画を観たり、本を読んだり、美しいものに触れたときの自分の心の動きに常に注意深くあることをお勧めします。その時、自分の心がどのような動きを見せたか、どのような形に、色に変化をしたかを観察し、記憶しておくことが重要です。素敵な音楽を聴いて感動したとき、そのような曲を作りたいと思ったならば、同じ音符の配列を持った音楽を作るのではなく、自分の心が同じ反応をする音楽を作るべきです。
軽音楽部の皆さんへ
渡邊先生からのメッセージ
渡邊先生から、軽音楽部で練習に励んでいる皆さんへの応援メッセージをいただきました!
音楽は“センス”と“技術”で構成されています。センスは経験の積み重ねであり、技術は鍛錬の賜物です。どちらも身に付けるには時間を要します。
だから毎日、とにかく音楽をすることです。
そして、世界がつまらないと感じるのであれば、その原因は経験の足りない自分にあると思って間違いないです。知らないものは見えてこない。知らないからこそ、つまらない。
世界も未来も自分の行動一つで大きく躍動を始めるものです。
お互い頑張りましょうね。
下の写真は先生が教えられているミュージッククリエーション専攻の授業風景です。
こんな風に「毎日音楽」して“センス”と“技術”を身に付けていくんですね。
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【渡邊 崇(Takashi Watanabe) Profile】
作曲家/音楽プロデューサー/大阪音楽大学特任准教授。第37回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した『舟を編む』、ベルリン国際映画祭で特別表彰を受けた『663114』をはじめ、『オケ老人』『湯を沸かすほどの熱い愛』『帝一の國』など、数多くの映画音楽で活躍。またCM音楽もアサヒ『おいしい水 富士山』、大塚製薬『ビタミン炭酸 MATCH』、CITIZEN『ATTESA』、 JR『トレたび』、P&G『アリエール』など多数手がけている。一方で、室内楽コンサート用に楽曲を書き下ろすなど、ジャンルにとらわれない幅広い活動で知られている。
【協力】
大阪音楽大学
http://www.daion.ac.jp/

〒561-8555 大阪府豊中市庄内幸町1-1-8 
入試センター:0120-414-015(入学試験・オープンキャンパス等に関すること・入試資料のお申込み)
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商業音楽に特化した大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻では、クラシックの技法から劇伴、CM音楽まで幅広く学べます。専攻生全員にAvid Pro ToolsとNATIVE INSTRUMENTS KOMPLETEがインストールされたApple MacBook Proが支給されるという充実の環境も魅力です。

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『軽音マガジン 2017 Vol.1』 トップ・ページへ