特集・コラム

「ギターを作れる」って本当ですか?

ESPギタークラフト・アカデミーの卒業生の方に伺いました

ギターやベースがこわれたら、楽器店へ修理に出しますよね。その後、どんな人がどうやって修理しているのか気になりませんか? そもそも、どうしたらそういう職業に就けるんでしょうね。ちょっと面白そうじゃないですか? 

実はあるんです、そういう学校が! それがこれからご紹介するESPギタークラフト・アカデミー(GCA)です。卒業生の方にもお話を伺うことができたので、ぜひ参考にしてみてください。

keion_v2_GCA_01.jpg

「ESPギタークラフト・アカデミー」とは!?

ギター・メーカーが運営

ESPは世界的に有名な日本の楽器メーカーです。皆さんも「ESP」のロゴが付いたギターなどを楽器店で見たことがあるのでは? そんなESPが運営するのがESPギタークラフト・アカデミー(通称GCA)です。ここは「ギターを作れるようになる学校」なんです!

ESPはギターをオーダーメイドできるメーカーとして有名なのですが、GCAではその技術をバッチリ教えてくれます。どれくらいバッチリかというと、卒業していきなり自分のギター・ショップを開いてしまう人もいるくらいなんですよ。

もちろん、ギターを作るには設計/デザインから木の加工や塗装、電気系部品の組み込みなど、いろんな技術が必要です。でも、入学前にそれらの知識はなくても大丈夫とのこと。「すべての学生が初心者」という前提でカリキュラムが組まれているそうです。なお、ギターが弾けない人でも入学できるそうですよ!

卒業後の未来が待ち遠しい

卒業後は大きくわけて、楽器を作るクラフトマンと、修理やメンテを行うリペアマンの2つの道があるそうです。クラフトマンとしてはメーカーに勤めるケースから、前述のように自分のお店を開く人までさまざま。またリペアマンも各地のESPのショップに勤務する方もいれば、次ページの鈴木美智子さんのようにリペア工房で活躍する方もいらっしゃいます。そのほか、木工や塗装の技術を生かして他業種へ進む場合もあるそうです。

さらに、ESPは楽器の製造から販売、さらにはGCAのように教育まで手掛けているので、いわば楽器業界のすべての役割を備えた会社です。そういう意味でも、卒業後の進路には多様な可能性があると言えるでしょう。

keion_v2_GCA_02.jpg

これはバンドソーという機械。ギターの形に木を加工します。こんな機械も使えるようになるんです

keion_v2_GCA_03.jpg

ボディをカンナやヤスリで仕上げている様子。もちろん、道具の使い方はしっかり教えてもらえます

keion_v2_GCA_04.jpg

こちらはアコースティック・ギターの内側にある「ブレーシング」という木材を削っているところ。この削り方で音色が変わるのだとか

keion_v2_GCA_05.jpg

塗装風景。手に持っているのは塗料を吹き付けるスプレーガン

keion_v2_GCA_06.jpg

エレキの場合は配線も重要

keion_v2_GCA_07.jpg

こんな楽器も作れるんですよ!

リペアマン・インタビュー

鈴木美智子さん (株式会社マイクスカンパニー ヤマノ・テクニカルサービス 技術担当)

Photo:Takashi Yashima

keion_v2_GCA_08.jpg

高校生のときに板切れで
“理想のベース”を作ったりしてました

GCA卒業生で、現在は株式会社マイクスカンパニー ヤマノ・テクニカルサービスでリペアマンとして活躍されている鈴木美智子さんにお話を伺いました。同社は全国にCD/楽器の販売店を持ち、テイラーをはじめとする楽器の輸入代理も手掛ける山野楽器の系列会社で、鈴木さんもテイラーをはじめ、さまざまな楽器の修理を手掛けていらっしゃるそうです。

高校生で“理想のベース”作り

●なぜGCAに入学したのですか?

小さいころからモノ作りが大好きだったんです。高校では軽音楽部でベースを弾いていたのですが、雑誌でGCAのことを知り、楽器作りに携わりたいと思うようになりました。何度かオープンキャンパスに行って、ギター・スタンドやエフェクターを作ったりもしていたんです。

●GCAに入る前に木工などの経験は?

本格的な経験はなかったのですが、楽器作りへの憧れが強すぎて、自分で板切れを買ってきてベースの形に削り、彫刻をして、マニキュアを塗って自分の理想のベースを作ったりしてました(笑)。

●GCAではどんな製作を?

シールにチェック柄をプリントしてギターのボディに貼り、その上から塗装するという技術を教わったりしました。チェック柄のギターが欲しかったので(笑)。2年生になると、そういう特殊な製作も行えるんです。

●現在の会社に就職されたのは?

私はクラフトのコースだったのですが、「リペアもいいのでは?」と先生に勧めていただきました。「リペアは作るより難しい場合もあるけど、技術を磨けるよ」とおっしゃっていただいたんです。

keion_v2_GCA_09.jpg

ネック折れの修理も担当

●入社してすぐに行った修理と言えば?

最初はすり減ったフレットの高さを合わせたり、ナットを交換したりといった作業をやらせてもらいました。

●現在は主にどういう修理を?

いろいろですが、学生時代から塗装が好きだったということもあって、塗装修理を行うことが比較的多いです。例えば今はアコースティック・ギターのヘッドの塗装中です。ペグ周辺は圧力がかかって塗装が浮いてしまうことがあるんですが、それを直しています。

●今までで一番難しかった修理は?

ギターのネック折れでしょうか。接着して待って、補強して待って、塗装して待ってと、乾燥時間をおきながらの作業なので何カ月もかかりましたが、完成したときにはすごく達成感がありました。あとは塗装修理でも、元の色を再現するには幾つかの塗料を混ぜて色を作らなくてはいけないので難しいです。全く同じ修理品というのはありませんから。

●将来の夢を教えていただけますか?

もっときれいに塗装ができるようになりたいです。あとは、好きなアーティストの楽器のリペアなどに、少しでも携われるように頑張りたいと思います。

keion_v2_GCA_10.jpg

【協力】
ESPギタークラフト・アカデミー

http://www.esp-gca.com/

多くの有名アーティストのカスタムモデルを手掛ける「ESP」。そのギター/ベース製作のノウハウを学べる学校がESPギタークラフト・アカデミーです。修学期間は1年〜3年まで用意されていて、製作/修理の基本を学べる1年次だけでも卒業は可能ですが、より専門的な技術を身に付けるために2年、3年でのコースも用意されています。「一体、どんな授業なんだろう?」と興味を持った人は、オープンキャンパスを体験してみることをオススメします。エフェクター製作や楽器メンテナンスなどを体験できるので、リピーターもいるほど楽しいそうですよ。まずはWebサイトをチェックしてみてください!

御茶ノ水校
〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台2-1-9 ESPお茶の水ビル4F
TEL:0120-03-0915
E-Mail:tokyo@esp-gca.com
詳細はこちら:http://musicschool-navi.jp/schools/013.html

梅田校
〒530-0016
大阪府大阪市北区中崎3-1-2 ESP梅田東ビル
TEL:0120-06-2082
E-Mail:osaka@esp-gca.com
詳細はこちら:http://musicschool-navi.jp/schools/014.html

名古屋校
〒460-0011
愛知県名古屋市中区大須4-10-89 トキワビル3F
TEL:0120-05-2075
E-Mail:nagoya@esp-gca.com
詳細はこちら:http://musicschool-navi.jp/schools/015.html

仙台校
〒980-0811
宮城県仙台市青葉区一番町2-3-33-2F
TEL:0120-02-2376
E-Mail:sendai@ esp-gca.com
詳細はこちら:http://musicschool-navi.jp/schools/016.html

『軽音マガジン 2017 Vol.2』 トップ・ページへ