特集・コラム

音楽に携わる24の職業カルテ「音楽ビジネス系」

楽曲を操る音楽ビジネスの最前線
「レコード会社スタッフ」

音楽好きならレコード会社で働きたいと考えている人もいるだろう。レコード会社の制作/宣伝部門には主にこんな部署がある。【A&R】アーティスト&レパートリーの略で、CD 制作のすべてを担う。ディレクターはここに所属。【宣伝】アーティストのリリース情報をリスナーに届けるため、各メディアへの宣伝活動を行う。担当者はプロモーターと呼ばれる。【ストラテジック/カタログ】過去のカタログ(音源や映像など)を使い、新たな切り口でコンピレーションやリイシュー盤を制作する。 新卒採用は超難関なので、可能性があるとすればアルバイト採用だ。求人をこまめにチェックしておこう。


アーティスト活動の支配人
「マネージャー」

マネージャーは、アーティストの個性や才能を見極めて売り出し方を考えたり、スケジュールの管理やメディアへの出演交渉、コンサートのブッキングといった音楽活動にまつわる一切の業務を担う職業だ。アーティストと一緒にいる時間が長いため、信頼関係を築けること、フットワークの軽さ、それに業務を的確にこなす能力が求められる。マネージャーになるには、音楽プロダクションに入社するのが一般的。定期採用はほとんどないので、求人情報をこまめにチェックしておこう。なお、マネージャー養成コースを設けているスクールを利用すれば、入社のチャンスはぐんと広がるかもしれない。


音楽ジャーナリズムの最前線
「音楽雑誌編集者」

記事内容の決定からライターとの打ち合わせ、原稿発注と取材、原稿のリライト、写真選び、デザイン発注、校正まで、本作りに関する全作業を仕切りながら進めていく編集者。月刊誌の場合はこの作業を毎月繰り返すうえ、別冊や増刊号の仕事も同時進行で飛び込んでくるから、メシを食う暇どころか寝る時間もないという忙しさだ。しかしトップ・アーティストたちと直に接し、良い音楽を多くの人に紹介するというこの仕事には大きなやりがいがある。未経験者OK の求人でも、ある程度の文章力やPC 操作、音楽知識を求められることが多いので、スクールで編集技術を身につけておくと優位だ。


音楽の感動を文字でつづる匠
「音楽ライター/音楽評論家」

CD 評やコンサート評を書き、またアーティストのインタビューを行って自らの文章でその魅力を伝えるこの仕事。目指すなら、音楽雑誌編集部や編集プロダクションに所属して、修行を積んだ上で独立する方法がもっとも確実だ。もしくは編集部に原稿を持ち込んで直談判するという手もある。どちらにせよ独自の着眼点と文章力が必要になるため、それなりの勉強をしておいたほうがいいだろう。音楽ファンには人気の職業だが、音楽雑誌の原稿料は400 字2,500 円からと安く、雑誌の数も限られているため、売れっ子にならない限りこれだけで生活していくのは厳しい。覚悟をもって臨むべし。


音楽ビジネスには欠かせない存在
「音楽著作権管理(楽曲出版)」

音楽に著作権が存在するのはご存じだろう。作者の死後50 年が経過しているクラシック音楽や民謡などを除いて、曲が演奏されたり、オンエアされたり、CD などの製品になるたびに、作曲家や作詞家が印税を得る権利が発生する。こうした楽曲の著作権管理を作者本人に代わって行うのが楽曲出版社だ。この職種はほかに楽曲やアーティストの宣伝、優れた作家やアーティストの発掘など、レコード会社のA&R や宣伝部と同じような仕事を行うこともある。楽曲出版は専門の出版社のほか、音楽プロダクションやレコード会社、放送局なども部門を設けているケースが多いので、求人を注意して見ておこう。


TV番組制作の最高責任者
「音楽番組制作プロデューサー」

音楽番組制作プロデューサーの仕事は、番組の企画立案、予算管理、出演者のブッキング、現場のスタッフィングとスケジューリングなど多岐にわたる。TV 業界は華やかに思えるが、実際は寝る間も惜しんで動き回らなければならないハードな世界だ。でもその分やりがいは十分にあり、番組が評判になれば名プロデューサーとして名が売れ、高収入も見込める。タフさと企画力に自信のある人は挑戦してみるのも面白いかもしれない。この職業へは、放送局か番組制作会社に就職してAD →ディレクター→プロデューサーと昇格していくことになる。非常に狭き門なので、求人を随時チェックしておこう。


未来の音楽人を育成する玄人
「音楽講師」

楽器演奏の楽しさを多くの人に伝えたい……そう考えているなら音楽講師という道もある。全国の音楽専門学校、音楽教室、カルチャーセンターでは、常に有能な講師が求められている。専門学校では第一線で活躍するプロの演奏家を講師に迎えるケースが多いが、そのほかの教室では“プロの講師”としての実力があれば採用の可能性は高い。もし目指すなら、ミュージック・スクールの指導者養成コースや音楽大学を卒業し、大手楽器メーカーが運営する資格認定システムを受けてキャリアを証明しよう。生徒の信頼を得て人気講師になるには相当な努力がいるが、その分やりがいも大きい。