特集・コラム

音楽に携わる24の職業カルテ「クリエイティブ系」

鋭いセンスで時代を切り取る創造者
「作詞家/作曲家」

レコード会社や音楽プロダクションの依頼を受け、コンセプトにそって曲を作るのが作曲家。作曲家の作ったメロディに言葉をあてていくのが作詞家だ。作曲家を目指すなら、最低でもギターかキーボードを弾けて、コードに関する知識がないと難しい。作詞家は、世の中に対する関心の高さと言葉へのあくなき探求心が必要だ。この仕事のスタート地点は、音楽業界の人に認められるか、もしくは人づてというケースがほとんど。そうなると、業界とのつながりを持つミュージック・スクールに行くのも手だろう。とにかく自分の作品をあらゆる人に見てもらうことが成功への第一歩となるわけだ。


メロディを引き立てる音の魔術師
「アレンジャー」

作曲家が作ったメロディをもとに、メロディ以外の部分を作り上げるのがアレンジャーの仕事。ディレクターからの“派手なイントロにしたい”というような要求に応えながら、アーティストの魅力を引き出し、時代が求める作品に仕上げていく。録音現場では楽譜を書いてミュージシャンに演奏を指示したり、打ち込みの曲ではバックの演奏データを自ら作成することもある。センスがいるのはもちろん、楽器の実践的な知識や音楽理論に精通していなければならないので、目指すならミュージック・スクールで専門的に学び、尊敬できるアレンジャーのもとでアシスタントから始めるのがいいだろう。


音色を自在に操るシンセのプロ
「プログラマー」

マニピュレーターとも呼ばれるこの職業は、シンセサイザーやシーケンス・ソフトを使って音色データを入力し、その操作を行う。打ち込みの楽曲の制作時に声がかかり、アレンジャーとの二人三脚で、アレンジャーの注文にそって音を組み立てていく。プログラマーになるための基本条件は、楽器とコンピューターが好きなことと、音楽知識を持っていること。また、相手の頭の中にあるイメージを具体化していく作業なので、コミュニケーション能力や柔軟性、さらには緻密性も不可欠だ。仕事につくには、専門的な技術をスクールで身につけ、そこからプログラマーの所属事務所に入社するのが一般的。


映像の世界観を音で彩る創作家
「サウンド・クリエイター」

ひと口にサウンド・クリエイターといっても、ゲーム音楽制作やCM 音楽制作などさまざま。いずれにしてもクライアントのオーダーに応じてシーケンス・ソフトで音楽を作っていくことになるので、コンピューターや音楽の幅広い知識と、臨機応変に対応できる能力が必要となる。ゲームの世界に入るにはゲーム会社への就職が手っ取り早いだろう。CM の場合は音楽制作会社に自分の作品を売り込んだり、積極的にコンテストに参加して業界関係者に目をつけてもらうことが先決。こうした会社にコネを持つミュージック・スクールで学べば、卒業時に仕事を斡旋してもらえる可能性も高い。


音楽制作の全権を握る総監督
「レコーディング・プロデューサー」

プロデューサーは、CD の企画からリリースまでのプロセスを総合的に監督する立場。アーティストのタイプを見極め、音楽の方向性を決めてミュージシャンやアレンジャーを選別したり、サウンドを吟味したり、選曲やジャケット・デザインなどにも適切な助言を行う。そのため、優れたビジネス感覚と幅広く奥深い音楽知識、それにレコーディングの専門的なノウハウも不可欠で、それ相応の経験と実績がなければ務まらない。目指すならレコード会社に入社し、A&R →ディレクター→プロデューサーと登りつめるか、ミュージシャン、エンジニアとしてキャリアを積んでから転向することになるだろう。


アーティストと現場を仕切る戦略家
「レコーディング・ディレクター」

プロジェクトの総監督であるプロデューサーのもとで、現場を仕切ったりアーティストのケアをするディレクター。一度に数人のアーティストを担当し、それぞれと良好な関係を保ちながら優れた音楽を生むための戦略を練り、レコーディングでは現場スタッフに適切な指示を出し、また新人発掘や育成なども行う多忙な仕事だ。レコード会社の社員が務めるケースが一般的だが、音楽プロダクションや音楽出版社に所属するディレクターもいる。いずれにしても入社は難しいので、ミュージック・スクールでコネを見つけ、アシスタントとして現場に潜り込むのが手かもしれない。


音を技術で支えるキー・パーソン
「レコーディング・エンジニア/ミキサー」

録音時にマイクをセットしたり、ミキサー卓で音のバランスをとったりイコライジングなどを施すのがレコーディング・エンジニアおよびミキサーの仕事。楽器の音や声は録るマイクの種類や位置によって変わり、また収録した音素材を合わせる際も各トラックのサジ加減ひとつで全体の印象がガラリと変わる。そこで、いかにアーティストやディレクターの理想とする音を作れるかどうかがエンジニアの腕の見せどころとなる。優れた耳と感性が求められ、ついでに体力も必要だ。特殊な技術がいるため、エンジニアの多くは音響関係の技術を扱う専門スクールを出てからスタジオに就職している。